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02.タイ南部編(10月9日〜12日)


ハジャイ

 日本より広い国土をもつタイを北・中・南の3つにわけるとハジャイは南部最大の都市ということになる。鉄道駅を中心に開けた町なので、マレーシアから鉄道で入国する旅行者にはありがたい限りだ。おそらくこのルートを歩む殆どの旅行者がこの町を通り過ぎていくのだろう。

 タイ南部は北部に比べると経済力があるとされているが隣国マレーシアには及ばず、マレー人から見ると物価が安いということでちょっと足を伸ばして国境越えて遊びにくるようだ。明らかに人口に対して過剰供給されている飲み屋の数がその事実を示している。また、町中で見られるフカヒレと燕の巣の看板。中国料理の多さは東南アジアにおける華人の強さを物語る。とにかく、よくも悪くもタイにいるんだという実感を与えてくれない町である。

 ハジャイではハナさんという横浜市民に会った。証券会社を辞めて長旅に出たという。女一人、ボディボードを抱えてスリランカを目指すという豪傑で、 酒を飲む前から底抜けのテンションだった。日本人にもいろいろいるもんだ。


サムイ

 マレー半島の西側に位置するリゾート地の代表格がプーケットならば東側のそれはサムイ島ということになる。唐突だがこの島では「寒い」という日本語は「こんにちは」並に知られている。「サムイ島なのに暑い」などと この島で言おうものなら外国人からも「寒っ!」と言われかねない。

 かなりビーチは開発が進んでいて散財を惜しまぬ西洋人たちのバカンス向けの島と言える。島全体に言えることだが極端に西洋人の割合が高く、逆に東洋人の旅行者はかなり稀である。端的に言ってしまってここでは現地の人々の間で西洋人旅行者の評判があまりよくない。我が物顔の振舞いに対する非難が多いようだ。その一つの表れが仏教国のビーチでトップレスになる西洋人女性なのかもしれない。ちなみに、トップレス・ビーチはもっといいもんかと思ってたがそうでもなく、もっと怯むかとも思っていたがそうでもなかった。もっと海がきれいかと思っていたがそうでもなく、1ヶ月前に行った白浜海岸にも劣った。

 ただ、もちろんビーチも悪くないのだが僕がそれ以上に気に入ったのはヤシの木々に囲まれた海沿いの散歩道である。ビーチで一人というのは想像以上に寂しいものだが散歩道で一人というのはちっとも寂しくない。昼間は日本の夏そのものの気候だが朝晩には心安らぐ涼しさが得られる。特に朝は人気が少なく空気も澄んでいるように思われ絶好の散歩コースである。散歩、早起き、日本では滅多にしないことを進んでしてしまった。海水浴、日光浴以外でも充分に心弾む島だった。


パンガン島とフルムーンパーティ

 パンガン島ほど月の満ち欠けに気を使うエリアは世界でもそうそうない。この島のビーチで満月の夜に行なわれるフルムーンパーティは世界的に非常に有名で、その夜ともなるとストレスの蓄積した人々が酒だクスリだ 女だ男だと騒ぎながら朝がくるまでビーチで乱痴気騒ぎをする。

 島民にすればこれほどの書き入れ時は他になく、子供の玩具のようなプラスチック製のバケツ単位で酒を売る。串焼きを売る。とにかくなんでも売る。狂喜乱舞の西洋人のために、自分たちは一滴の酒も飲まずに。

 夜9時には西洋人たちが飲んだくれ、吸いだくれ。深夜0時には右も左も乱舞乱舞。で、2時頃になるとビーチだというのに妖しい雰囲気になってくる。その頃、ビーチに添寝して自らの世界に入り込んでいるカップルの足を誤って蹴飛ばした。ブチッと雰囲気を断ち切ってしまったわけだが、そのときの男のキレた目に恐れ戦いた。酒酔いではあのようにはなれまい。これが麻薬の力のようである。

 そのさまを見るためだけに来た文字通り興味本位の観光客は飲むに飲めず、踊るに踊れず、傍観に徹する。こういう類の人々も、僕を含めた東洋人、そして西洋人、ともに結構いた。それらも適当に金を落としていく。素晴らしい経済効果である。


タイ南部の雑記

・泊まったコテージに付いていた屋外プールで英国人のダイビングインストラクターと話をした。「サムイに住んでもう1年だが、イギリス人観光客は旅行先でのマナーが悪くていかん」と嘆いていた。

・ソンテウという屋根つきトラックみたいな乗り物でハワイ出身の爺さんと話をした。ハワイのホテルマンをしていたが定年後は南国をいろいろまわってるらしい。彼も、イギリス人とアメリカ人のマナーを嘆いていた。「ここでもそうだがハワイでもそうだった」と。逆に日本人はマナーがよろしいらしい。

・ハジャイからサムイへのミニバスは7人の乗客がいたが、日本人2人とマレー人1人以外はみな西洋人だった。当然西洋人がウイットに富んだジョークを聞かせてくれると思ったが最も笑わせてくれたのはマレー人だった。それだけ。
 

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